経理のヒアリングは「尋問」じゃない!営業が「喜んで」協力してくれる、魔法の3ステップ

経理DXのヒント

「経費精算の期限を守ってくれない…」 「請求書の情報が間違ったまま上がってくる…」

経理として、業務を改善しようと営業部門にヒアリング(聞き取り)をしたい。でも、いざ質問をしようとすると、こんな不安がよぎりませんか?

「営業さんから、『尋問されてる』『粗探しされてる』って思われてないかな…」

私も、経理は営業に「期限のお願い」をする立場であることが多いため、これ以上、関係性をギクシャクさせたくない…と悩むことが多かったです。

しかし、ある時、私は気づきました。 営業が私たちの質問を「尋問」と感じてしまうのは、私たちが彼らを「管理」しようとしている、と彼らが誤解しているからです。

私たちが本当にやるべきは「管理」ではありません。 彼らを「面倒事から解放する」ことです。 この視点を持つだけで、ヒアリングは「尋問」から「最高の業務改善相談会」に変わります。

今回は、営業部門が喜んで協力してくれるようになる、「魔法のヒアリング術」3つのステップをご紹介します。


ステップ1:【最重要】ヒアリングの「目的」を宣言する

営業担当者に話しかける第一声で、すべてが決まります。 「尋問」か「相談」かの分岐点です。

  • NGな第一声:「ちょっと経費精算の件で聞きたいんですけど…(=粗探しの始まり?と警戒される)」
  • OKな第一声:皆さんが営業活動に1秒でも長く集中できるよう、領収書の処理にかかる時間をゼロにする仕組みを作りたいので、5分だけ力を貸してください!

まず、「あなたの仕事を楽にするためだ」という大義名分(目的)を明確に宣言します。 「管理」ではなく「解放」が目的だと伝えることで、営業担当者は「自分にもメリットがある話だ」と、聞く耳を持ってくれます。


ステップ2:「責める質問」ではなく「助ける質問」をする

目的を共有できたら、次は質問の「内容」です。 事実確認(尋問)ではなく、相手の「不満」や「面倒事」を引き出す質問をしましょう。

  • NGな質問(相手を責める=尋問):
    • 「なぜ、いつも期限を守れないんですか?」
    • 「どうして、このルールが徹底できないんですか?」
  • OKな質問(相手を助ける=相談):
    • ぶっちゃけ、今の経費精算で、どの作業が一番『面倒くさい』ですか?
    • 「もし、〇〇(例:領収書の糊付け)がなくなったら、嬉しかったりしますか?」
    • 「この申請フロー、正直わかりにくい部分ってありませんか?」

私たちは「警察官」ではありません。「医者」です。 相手を罰するのではなく、相手の「痛み(面倒事)」を聞き出し、それを解消する「処方箋(仕組み)」を考えるのが私たちの仕事です。


ステップ3:ヒアリングを「仕組み化」する

とはいえ、「私、瞬発力ないし、やっぱり対面で聞くのは緊張する…」という方も多いはずです。(私もそうです) そんな時は、ヒアリング自体を「仕組み化」してしまいましょう。

  • 匿名アンケート(Googleフォーム)を活用する: いきなり1on1で聞くのではなく、まずはGoogleフォームなどで「匿名アンケ―ト」を取ります。 「経理部門への不満、何でも書いてください(匿名)」 「あなたが今、一番無くしたい経理作業は何ですか?」 こうすれば、営業も本音を書きやすくなりますし、私たち経理も、集まった「事実(データ)」を元に、冷静に分析(準備)してから次の手を打てます。
  • 「ファクト(事実)」でプレゼンする: アンケートが集まったら、それはもう「個人の不満」ではなく「会社全体で解決すべき課題(ファクト)」です。 「匿名の声ですが、皆さん、この作業が一番面倒だと感じているようです。そこで、この作業自体をなくす、こういう仕組みを提案します」 こう切り出せば、それはもう「尋問」ではなく、データに基づいた完璧な「業務改善のプレゼンテーション」です。

まとめ:ヒアリングは「分かり合う」ための第一歩

「瞬発力がない」と悩んでいた私たちが、データと仕組みで「準備力」という武器を手に入れる方法をご紹介しました。

しかし、これらのヒアリング術や仕組み化は、単なる業務効率化テクニックではありません。 その本質は、「経理と営業が、お互いを『分かり合う』ための最強のツール」であるということです。

  • 経理はヒアリングを通じて、
    • 「営業はなぜ期限を守れないのか」ではなく、
    • 「営業はこんな面倒な作業を抱えながら、こんな事情で戦っていたのか」
    • と、営業の背景(事情)を知ることができます。
  • 営業はヒアリングを通じて、
    • 「経理はなぜあんなに細かいのか」ではなく、
    • 「経理は会社全体のお金を守るために、こんな後工程を背負っていたのか」
    • と、経理の背景(事情)を知ることができます。

お互いの「事情」が分かれば、そこにはもう「敵」はいません。 「期限を守らせる監視役」と「ルールを破る違反者」という対立構造は消え、「会社の成長」という共通の目的に向かう「パートナー」が生まれるのです。

部門間の壁がなくなり、お互いの事情を理解した上で作られた「仕組み」は、会社から無駄な摩擦と空回りを一掃します。

経理と営業が分かり合うこと。 それこそが、会社全体の生産性を劇的に向上させ、会社の成長を加速させる、最も確実で、最もパワフルなエンジンとなるのです。

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