「最近の若い子は、すぐに辞めてしまう」 「石の上にも三年という言葉を知らないのか…」
経営者の皆様、居酒屋でそんな愚痴をこぼしていませんか? もし、御社の経理現場がいまだに「紙とハンコ」中心なら、若手が辞める理由は「根性がないから」ではありません。
彼らは、「恐怖」を感じて逃げ出しているのです。
今日は、経理DXコンサルタントの視点から、「IT環境の遅れが引き起こす静かなる離職」について、若手の本音を代弁します。
1. 若者が「アナログ経理」に抱く3つの本音
私が多くの現場を見てきて確信しているのは、若手社員は「楽をしたい」わけではないということです。彼らは非常に合理的で、真面目です。 だからこそ、以下の3つに絶望します。
① 市場価値への不安(キャリアの恐怖)
「この会社で5年間、手書きの伝票入力だけを続けて、自分は何のスキルがつくんだろう?」 彼らはSNSで、他社の同世代がAIやクラウドツールを使いこなしていることを知っています。 「ここにいたら、他で通用しない人材になってしまう」という焦りが、彼らを転職サイトへと走らせます。
② 不合理な作業へのストレス(タイパの重視)
「なぜ会計ソフトにデータ取込機能があるのに、手打ちしているんですか?」 デジタルネイティブ世代にとって、テクノロジーで解決できることを人力でやるのは、今の時代に「洗濯板で洗濯しろ」と言われるのと同じ苦痛です。 「意味のない苦労」を何より嫌います。
③ 「変化を拒む社風」への失望
これが決定的です。 ITツールの導入が遅れていること自体よりも、「それを変えようとしない会社の姿勢」に見切りをつけます。 「あ、この会社は新しいものを受け入れないんだな」と悟った瞬間、心のシャッターは降ります。
2. 経理DXは「コスト」ではなく「福利厚生」
「うちは中小企業だから、AIなんてまだ早いよ」 社長がそう言った時、若手にはこう聞こえています。 「うちは君たちの成長にお金をかけないよ」
今や、快適なIT環境を用意することは、おしゃれなオフィスや無料のコーヒーサーバーよりも重要な「福利厚生」です。
- 手入力の撲滅 → その時間を「分析」や「提案」に使う。
- クラウド化 → テレワークや柔軟な働き方を可能にする。
これが実現できれば、若手は「この会社なら成長できる」「自分の時間を大切にしてくれる」と感じ、定着率は劇的に向上します。
3. すべてを変える必要はない。まずは一つから
「そうは言っても、いきなり数百万のシステムは無理だ」 その通りです。すべてを一気に変える必要はありません。
まずは、若手が一番嫌がる「単純作業の繰り返し」から手を付けましょう。
- 銀行の入出金データを、手打ちから「API連携」に変える。
- 経費精算を、領収書のり貼りから「スマホ撮影」に変える。
これだけでも、現場のストレスは半減します。 何より重要なのは、「会社が、自分たちの働きやすくするために動いてくれた」という事実を社員に見せることです。
まとめ:DXは最高の「採用ブランディング」
採用面接で、胸を張ってこう言える会社になってください。 「うちは、単純作業はすべてITに任せています。あなたには、もっと頭を使うクリエイティブな仕事をしてほしい」
これが、人手不足の時代に中小企業が勝つための最強の殺し文句です。
「社員が辞めない経理」を作りたい経営者様。 まずは現状のアナログ度を診断し、若手がどこにストレスを感じているか洗い出してみませんか?



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