今年も残すところあとわずか。 オフィスの大掃除や、書類の整理に追われている時期ではないでしょうか。
物理的な掃除も大切ですが、経営者にはもう一つ、年内に片付けるべき「大掃除」があります。 それは、「将来性のない事業(負け犬)」の整理です。
「長年やってきた事業だから…」 「担当者の顔を立ててあげたい…」
その「情」が、会社の未来を食いつぶしているかもしれません。 今年最後のブログは、経営学のフレームワーク「PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)」を使って、来年のために「勇気ある撤退」を決断するヒントをお届けします。
1. 事業を4つに仕分ける「PPM分析」
PPMとは、自社の事業を「市場の成長率」と「シェア」の2軸で、以下の4つに分類する手法です。
- 花形(Star): 成長中のエース。儲かるが、競争も激しいので投資(カネ)がかかる。
- 金のなる木(Cash Cow): 成長は止まったが、シェアが高く、黙っていても現金を生むドル箱。
- 問題児(Problem Child): 成長市場だがシェアが低い。投資して「花形」にするか、諦めるかの瀬戸際。
- 負け犬(Dog): 成長もせず、シェアも低い。利益を生まない(または赤字)。
経営の鉄則はシンプルです。 「『金のなる木』で稼いだ現金を、『花形』や『問題児』に投資して育てること」。
そして、「『負け犬』からは撤退すること」です。
2. なぜ社長は「負け犬」を捨てられないのか?
理論上は簡単ですが、実務ではこれが一番難しいのです。 なぜなら、その「負け犬」事業にも、過去の苦労や、担当社員の頑張り(サンクコスト)が詰まっているからです。
「もう少し粘れば黒字になるかも…」 そう思ってズルズル続けてしまうのが人情です。
そこで、私の専門である「会計(経理)」の出番です。 PPMの図に、冷徹な「キャッシュフロー」のデータを重ねてください。
- その事業は、現金を稼いでいますか?
- 他事業が稼いだ利益を、その事業の赤字補填に使っていませんか?
- その事業を維持するための時間(人件費)を、これからの「花形」事業に使ったら、どれだけ利益が増えますか?
数字は嘘をつきません。 「情」ではなく「事実」で判断材料を作るのが、経理の役割です。
3. 撤退は「敗北」ではなく「次への投資」
「事業をやめる」というと、ネガティブなイメージを持つかもしれません。 しかし、経営資源(ヒト・モノ・カネ)は有限です。
PPMが教えてくれるのは、「負け犬を捨てることは、花形を育てるための必須条件である」ということです。 両手に荷物を抱えたままでは、新しいチャンス(金塊)を掴むことはできません。
手放すことで初めて、新しいリソースが生まれます。 撤退とは、来年の成長に向けた最も前向きな「投資」なのです。
まとめ:経営の大掃除をして、良いお年を
あなたの会社の事業ポートフォリオは、健全でしょうか? もし「愛着はあるけど、数字はお荷物」という事業があるなら、この年末年始が向き合うチャンスです。
不要なものを捨て、身軽になり、浮いたリソースを来年の「花形事業」に一点集中する。 そんな強い経営体質で、新しい年を迎えましょう。
本年もブログをお読みいただき、ありがとうございました。 来年も、経理と経営の視点から、中小企業の成長を支える情報を発信していきます。



コメント