「売上は上がっているのに、なぜか資金繰りが苦しい」
「うちは安売りすべきなのか、値上げすべきなのか迷っている」
そんな悩みを持つ社長は、一度立ち止まって「自社の勝ち方」を数字で確認する必要があります。
今回は、中小企業診断士の財務会計で学ぶ「ROA(総資産利益率)」という指標を使って、あなたの会社のビジネスモデルを「高級フレンチ型」か「激安牛丼型」かに分類し、進むべき道を診断します。
1. 会社の偏差値「ROA」を分解する
ROAとは、「会社が持っている資産を使って、どれだけ効率よく利益を出したか」を見る指標です。
いわば、会社の総合力を示す偏差値のようなものです。
しかし、ただROAを見るだけでは不十分です。
「デュポン分解」という手法を使って、この式を2つに分解すると、経営の本質が見えてきます。
ROA = 売上高利益率 × 資本回転率
(① 儲けの質) × (② ビジネスのスピード)
① 売上高利益率(質): 1回売るごとに、どれだけガッポリ儲かるか?
② 資本回転率(スピード): 持っている資産(在庫や設備)を、年間何回転させているか?
つまり、会社が勝つパターンは以下の2つしかないのです。
2. あなたの会社はどっち? 2つの勝ちパターン
パターンA:高級フレンチ型(高マージン × 低回転)
- 特徴:お客様の数は少なくても、1人から高い利益をいただくモデルです。ブランド力や技術力が命です。
- やってはいけないこと:「安易な値引き」です。回転率が低いモデルで利益率を下げると、会社は即死します。「売上が欲しいから」と安請け合いするのは、高級フレンチが牛丼の値段で料理を出すようなものです。
パターンB:激安牛丼型(低マージン × 高回転)
- 特徴:1個あたりの利益は薄くても、次から次へと商品を売って「数」で稼ぐモデルです。小売業や卸売業が当てはまります。
- やってはいけないこと:「在庫の滞留(スピードダウン)」です。立ち止まったら死にます。在庫や売掛金が少しでも長く眠ると、資金ショートを起こします。
一番危険なのは、「中途半端な定食屋」になってしまうこと。
特徴もないのに値段も安くない。これでは、どちらの戦い方でも勝てません。
3. 経理DXは「回転率」を上げる武器になる
私たちのようなバックオフィスの人間が提案する「DX(業務効率化)」は、実はこのROAを上げるための特効薬です。
- ペーパーレスや自動化でコスト削減→ 利益が増えるので、「①利益率」がアップします。
- 在庫管理システムでリードタイム短縮→ 無駄な在庫が減り、お金になるスピードが上がるので、「②回転率」がアップします。
特に「薄利多売」で戦わざるを得ない業界において、DXによるスピードアップは生存競争の鍵を握ります。
まとめ:自社の「型」を知り、徹底しよう
あなたの会社は、質(利益率)で勝負する会社ですか?
それとも、スピード(回転率)で勝負する会社ですか?
「質」で勝つなら、ブランディングと高単価の維持を。
「スピード」で勝つなら、徹底的な効率化とDXを。
まずは決算書を見て、自社のROAを分解してみてください。
目指すべき戦略が、数字の向こうに見えてくるはずです。



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