いきなり「デジタル化」は失敗する。業務改善の鉄則「ECRS」の順序

経理DXのヒント

「流行りの業務効率化ツールを入れたのに、逆に現場が忙しくなった」 「ペーパーレス化したはずなのに、確認作業の手間が変わらない」

そんな失敗をする会社には、共通点があります。 それは、「今の業務フローをそのまま、デジタルに置き換えようとしたこと」です。

これは断言しますが、無駄な業務をデジタル化しても、無駄が高速で生産されるようになるだけです。

今日は、中小企業診断士の運営管理で学ぶ「ECRS(イクルス)の原則」を使って、DXを成功させるための「正しい順番」を解説します。


1. 改善の4原則「ECRS」とは?

ECRSとは、業務改善を行う際の「4つの視点」の頭文字をとったものです。 重要なのは、「必ずこの順番で検討しなければならない」という鉄則があることです。

① Eliminate(排除):なくせないか?
② Combine(結合):一緒にできないか?
③ Rearrange(交換):順序を変えられないか?
④ Simplify(簡素化):単純にできないか?

多くの失敗事例は、①〜③を飛ばして、いきなり「④ Simplify(デジタル化・ツール導入)」から始めてしまうために起こります。


2. 具体例:その「週報」は本当に必要か?

ある会社で「週報の提出が遅い」という問題があったとします。

【失敗するDXのパターン(いきなりS)】

  • 「スマホで入力できる最新の日報アプリを導入しよう!」 → 結果:入力項目が多すぎて現場が疲弊。結局誰も書かなくなる。

【ECRSで考える成功パターン】

  1. Eliminate(なくせないか?): そもそも、社長はこの週報を読んでいますか? 「実は3ヶ月前から読んでいない」なら、アプリを入れるまでもなく、廃止(やめる)するのが最強の改善です。コストも時間もゼロになります。
  2. Combine(一緒にできないか?): 廃止できないなら、朝礼の報告とセットにできませんか?
  3. Rearrange(順序を変えられないか?): 金曜の夜に書くから残業になるのでは? 月曜の朝一番に変更できませんか?
  4. Simplify(単純にできないか?): ここまで削ぎ落とした上で、初めて「チャットツールで3行送るだけでOKにする」というDXを行います。

3. 「やめる」決断こそが、最大の経営判断

DX(デジタルトランスフォーメーション)の本質は、ツールを買うことではありません。 「業務プロセスそのものを変革すること」です。

ECRSの中で、最も効果が高く、かつ最も難しいのが「E:なくす」です。 長年続けてきた慣習や、ベテラン社員の仕事を「なくす」には、経営者の強い意志が必要です。

しかし、不要な仕事をなくさずに高価なシステムを入れるのは、ゴミ屋敷を掃除せずにルンバを走らせるようなものです。すぐに詰まって止まります。


まとめ:引き算のDXを

あなたの会社が今やろうとしているIT導入は、 「E(排除)・C(結合)・R(交換)」の検討が終わった後のものですか?

もし、まだ業務の整理ができていないなら、システム会社に電話する前に、社内の「断捨離」から始めましょう。

「何を足すか」ではなく「何を引くか」。 これが成功するDXの第一歩です。


「どの業務をなくすべきか判断がつかない」「ECRS視点で業務フローを見直したい」という経営者様は、『経理の健康診断』へご相談ください。

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